ロシアの中心的な老齢年金は保険年金であり、保険料と予算支援からなる公的制度で賄われる。個人の投資口座残高だけで退職後の収入が決まる仕組みではない。受給資格は年齢、認められた保険加入期間、年金ポイントで決まり、支給額はポイント相当額と定額部分を組み合わせる。
2026年の一般的な受給年齢は男性64歳、女性59歳。移行期間を経て2028年から男性65歳、女性60歳となる。ただし早期受給の特例は別にあり、年齢に達しただけで資格が成立するわけではない。
管理主体と財源
ロシア社会基金SFRは2023年1月1日に業務を開始した。労働省によれば、従来の年金基金と社会保険基金を統合した組織である。主要な年金・社会保険給付を管理するが、予算全体には退職関連以外の給付も含まれる。
保険制度は雇用主の拠出と連邦予算からの移転で支えられる。中心は賦課方式で、現在の収入が現在の給付義務を賄い、個人記録が将来の権利を確定する。年金ポイントは労働者名義で運用する現金残高とは異なる。
SFRは2026年当初予算の支出計画を約18.7兆ルーブルと説明し、うち11.9兆が保険年金、9040億超が国家年金向けだった。これは計画であり最終執行額ではない。基金支出全体を老齢年金と呼ぶこともできない。
連邦予算の解説では収入と移転の仕組みを扱う。連邦からの移転と、その資金を受けた基金の支出を別々の最終支出に数えると、同じ流れを二重計上する。
年齢、加入期間、ポイント
SFRの2026年説明では、通常の条件は適用年齢、15年以上の保険期間、30以上の年金ポイントの3つ。一般的な対象は1962年生まれの男性と1967年生まれの女性である。一定の就労条件や家族事情には早期受給制度がある。
保険期間は通常の就業年数と常に一致するわけではなく、法律が認める一部の非拠出期間も算入される。まずSFRの個人記録を取り寄せ、就業、保険料、算入対象期間の欠落を退職前に確認することが実務上重要だ。
2026年の標準計算は、累積ポイントに1ポイントの価値を掛け、定額支給分を足す。SFRの2026年給付に関する発表では1ポイント156.76ルーブル、定額部分9584.69ルーブル。加算や個別事情で実額は変わる。
計算例として100ポイントなら、加算前で月25260.69ルーブルとなる。100に156.76を掛け、9584.69を加えた数字だ。公表パラメーターによる算例であり、平均年金額でも個人の受給認定でもない。
保険年金、社会年金、積立年金を分ける
保険年金は所定の権利に基づく。老齢社会年金は保険年金の資格がない人に対する制度で、通常は受給開始が遅い。SFRの現行案内では2026年と2027年は男性69歳、女性64歳、2028年から70歳と65歳となり、ほかの適用条件も満たす必要がある。
積立型の年金資産は別の部分である。中銀は、雇用主による積立年金への強制拠出は2014年から停止された一方、既存資産は引き続き運用されると説明する。新しい強制拠出の停止は、過去の残高の消滅ではない。
非国家年金基金との任意契約や長期貯蓄商品を持つ人もいる。拠出、運用成果、支給条件は別に確認すべきだ。保険年金の年齢やポイント式を、すべての積立・任意商品へ自動適用することはできない。
給付額はどう改定されるか
保険年金は2026年1月1日から7.6%増額され、ポイント価値と定額部分が引き上げられた。就労を続ける年金受給者への年次改定は2025年に再開した。それ以前に適用されなかった改定分には、離職後の別ルールがある。
社会年金の改定は別の仕組みで、年金受給者の最低生活費基準の上昇に連動する。SFRは2026年4月1日から6.8%の増額を発表した。保険年金の率をそのまま社会年金へ適用すれば誤りになる。
2027年について、SFRは10月16日の予算案説明で、2月と4月の2段階の保険年金増額を提案した。提案額は成立・実施済み給付とは区別する必要がある。今後の予算立法で条件が変わり得るため、予定には時期と法的状態を付けるべきだ。
改定が増やすのは名目支給額である。購買力が高まるかは各家計が直面する価格と比較期間による。ルーブル額の増加は、そのまま実質所得の増加ではない。
人口と戦争支出による圧力
公的年金は拠出者数、保険料算定対象の賃金、受給者数の関係に左右される。統計局が2023年10月に公表した人口予測は、2045年までに生産年齢を上回る層の割合が上昇すると想定した。条件付きの長期予測であり、現在の受給者数や基金赤字の直接予測ではない。
労働市場ガイドは、雇用、公式賃金、生産性が拠出基盤にどう関わるかを説明する。失業率が低いだけでは、収入が給付義務に追いつく速さで増えるとは限らない。
戦争は追加の財政制約になる。SIPRIの2026年3月分析は、ロシアの2025年軍事支出を約16兆ルーブル、GDP比7.5%と推計した。この過去の推計は競合する支出義務の規模を示すもので、同額が年金から削られた、あるいは年金が未払いだという意味ではない。
Russia Economyの分析では、継続的な軍事需要は財政の柔軟性を狭め、人口変化は拠出者と受給者の比率に影響する。政府は移転、増収策、借入、制度改定で対応できる。提示した証拠から年金制度の崩壊が迫るとはいえない。個人にとって重要なのは、年金種類、記録済みの権利、受給年齢、現行の改定規則である。


