公定相場 政策金利 14%
ロシア経済

分析経済

ロシアの実質賃金、増加率鈍化の後に夏場は横ばい

8月の実質賃金は前年同月比3.3%増と7月並みで、改定後の実質可処分所得の四半期増加率は9月まで加速した。

このページは英語版の翻訳です。 英語で読む

工場の休憩室の机に置かれた作業用手袋、封筒、食料品。
工場の休憩室の机に置かれた作業用手袋、封筒、食料品。 AIで生成したイメージ。 Russia Economy

ロイターが10月28日に報じたロシア連邦統計局のデータによると、2026年8月の実質賃金は前年同月比3.3%増となり、7月と同じ伸びだった。年初より大幅に鈍化しているが、直近月にさらに減速したわけではない。別の指標である実質可処分所得は、第2四半期の改定値3%増から第3四半期には3.4%増へ加速した。

この区別が家計所得の理解には欠かせない。賃金は雇用からの報酬であり、可処分所得は他の収入も含め、義務的な支払いを差し引く。いずれも価格調整を行うが、対象範囲と公表期間が異なる。両者を単一の減速し続ける系列として扱うと発表を誤って伝えることになる。

賃金の減速は8月より前に起きた

フィンマーケットが10月28日に伝えた統計局の実質賃金伸び率は、2月8.6%、3月8.1%、4月5.1%、5月4.5%、6月3.4%だった。7月と8月は3.3%で落ち着いた。これは2025年の対応月との比較であり、購買力の前月比変化を順に並べたものではない。

ロイターによると、1月から8月の実質賃金は前年同期比5.8%増だった。累計伸び率が8月の前年同月比を上回るのは、年初の強い伸びを含むためである。これは8月単月の値でも、通年予測でもない。

公式データは統計局の月次社会経済報告に属する。8月賃金は10月発表に掲載された一方、所得は第3四半期までをカバーした。同じ刊行物の他の指標が9月分だからといって、9月賃金の結果を推定することはできない。

名目賃金と物価が計算関係を示す

8月の平均名目月額賃金は103,014ルーブルで、前年同月比9.8%増だった。ロイターは1月から8月の名目賃金伸び率を12%と報じた。8月の低い伸びは実質賃金の弱まりと整合するが、単月と8カ月累計の比較だけでは、名目の伸びが毎月低下したとはいえない。

実質の伸びは、消費者物価を考慮した後に名目賃金の購買力がどれだけ増えたかを表す。概念上は、名目賃金指数を対応する物価指数で割る。名目賃金伸び率からインフレ率を単純に引く方法は近似であり、厳密な指数計算ではない。

公表された丸め済みの8月伸び率を使うと、1.098を1.033で割った物価係数は約1.0629となる。これは関係を示すRussia Economyの計算例であり、統計局が別途公表したCPIではない。丸めと元の計算方法が影響するため、公式物価系列の代用にはできない。

したがって、インフレは、ほぼ2桁の名目増加が小幅な購買力増加になった理由の一つを説明する。ただし、2月以降の減速のうち、物価、賃金上昇、業種構成、比較基準がそれぞれどれだけ寄与したかは示さない。数値的な分解には整合した基礎系列が必要である。

基準年の動きで年間伸び率は変わる

前年同月比は、毎月異なる前年の月と比較する。比較先の月に賃金が大きく上がっていれば、高い基準によって後の伸び率が下がることがある。現在の賃金水準が上昇し続けていても同じだ。これは数学的な仕組みであり、2026年の減速への具体的寄与を確認したものではない。

平均賃金は従業員や業種の構成も反映する。平均の変化は典型的な労働者の昇給額ではなく、平均値は中央値とも異なる。地域差、労働時間、高賃金職の集中も全国値の解釈に関わる。

労働市場の解説が広い背景を示す。ロシア中央銀行は10月23日、労働需給の逼迫が徐々に緩み、賃金の伸びが生産性に近づいている一方、なお大きな差があると評価した。この公式見解は文脈を補うが、8月結果の要因別寄与を数値化してはいない。

可処分所得は異なる四半期推移

インタファクスが10月28日に報じた改定後の統計局データでは、実質可処分所得の前年同期比は第1四半期2.6%、第2四半期3%、第3四半期3.4%増だった。1月から9月では3%増である。つまり2026年内の四半期伸び率は加速していた。ただし9カ月累計は、2025年通年の7.4%増を下回った。

比較期間は明示する必要がある。9カ月と通年の比較は背景を示すが、同じ期間同士の成長計算ではない。改定の説明なしに、以前の未改定四半期値と10月公表値を混ぜてはならない。

Russia Economyは、賃金の勢いは夏に安定する前に弱まり、一方で最新の四半期所得は改善したと読む。既存の企業の2027年賃金計画の記事は意向を扱い、今回の実績とは異なる。どちらのデータも全家計の状況や、支出を所得、貯蓄、借り入れのどれで賄ったかを示すものではない。